食べることと同様に、眠りは人にとって生きるための営みの一つ。なのに、現代人は大切な「眠り」という営みを、あまり大切にしていないように見受けられる。夜中に街をうろつく若者たち、朝早くから夜まで働く大人たち、塾や習い事で夜遅くまで外出している子供たち。夜と昼の境目が、都心に行けば行くほど無くなってきている。
人間の体内リズムのみならず、社会のリズムさえずれてしまっている今、疲れをとり身体をリセットできるはずの睡眠が逆にストレスとなっている場合さえある。「起きなくてはならない」「寝なくてはならない」という義務感。これを繰り返すことで不眠症に陥った方も多いのではないだろうか。厚生労働省の発表によると、なんと20%の人が睡眠に関する悩みをもっていたのだという。さらに、中国では45%もの人が睡眠障害に悩んでいるという。
ちなみに睡眠障害には、4つのタイプがある。「いわゆる寝付きが悪いタイプ」「睡眠時間のわりに、寝起きが悪いタイプ」「夜中に何度も目が覚めるタイプ」「朝早く目が覚めて、二度寝もできないタイプ」。
世界保健機構(WHO)も「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」というものを設立し、世界共通の不眠症判定法として、「アテネ不眠尺度」を発表している。8つの簡単な質問で不眠度を測定できるので、機会があったらぜひ試してみて欲しい。そのほか、睡眠が足りているかどうかを知る目安「エプワース睡眠尺度」というテストも。インターネットでも色んなサイトで公表されている。
|
|
人生の1/3を占める眠りの時間。
原因によって解決法は異なるが、“身体が眠りを欲する時間帯”と、“眠ろうとしている時間帯”がずれているせいで、うまく眠れないという方も多いらしい。また、1日8時間などという睡眠時間についてはあくまでも平均値であって、3時間で満足な人も、8時間必要な人もいる。要は眠りの時間より眠りの質が大事なんだそうだ。一般的な睡眠障害は、眠るときは音や光をできるだけ避け、起きたら必ず朝陽を浴びる。睡眠前の刺激(酒・タバコ・食事・カフェイン・激しい運動など)を避ける…などいくつかの簡単な心得で改善される場合も多い。
ただし、眠りの問題が週3回以上、1カ月以上続いている場合は、ぜひ医師に相談を。不眠症外来がない病院でも一般内科で診てもらえるし、不安が大きいようなら心療内科、精神神経科、精神科などへ。問診のほか、睡眠時の脳波や心電図などを調べるポリグラフ検査などで、睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動障害がないか…などが診察できる。
平均寿命まで生きたとして、一生のうち20年間を費やす眠りの時間。決しておざなりにはできない、大事な問題である。
|